今の私にできるかできないかはともかくとして、空手の指導をするときは「啐啄同時」の考え方を常に意識するようにしています。
鳥の雛が卵から産まれ出ようと殻の中から卵の殻をつついて音をたてた時にそのことに気付いた親鳥が外から殻を破る手助けをしてあげるようすを例えたもので、学ぶ者と指導者の呼吸がぴったり合うこと示す禅語の一つです。
指導者が良かれと思って、あるいは独りよがりに自分が求めるレベルのものを一方的に教えようとしても、生徒がまだその段階にきていない、または身体能力は届いていたとしても意識がまだ芽生えていないようなときはピンときてもらえません。そうかと思えば、同じ内容の教えがそのときにはピンとこなくても、その人の心境や意識、時やタイミングが変わったときに同じことを伝えてあげるとストンと腑に落ちてくれることもあります。

響くタイミングは人それぞれでまったく異なります。人の属性を大人、高校生に中学生、小学生、子供、初心者に上級者、男性女性と分けたとしても、さらに年齢や性格、稽古年数、体格差は一人として同じ人はいません。ましてや空手の帯の色はほんの数種類しかなく、動作レベルを大別するためのものにすぎません。「(同じ帯、級なのに)あの人はできて、なぜこの人はできないんだ」などと十把一絡げに考えてしまうことは指導者としてもってのほかです。
とはいえ、表面上に表れにくい生徒の成長度合いに気付くことは至難の業です。もしかしたら「生徒一人ひとりの心境や動作レベルを見極めてあげることが大切だ」などと我が物顔で標ぼうすること自体が驕りであったり不遜なことだったりするのかもしれません。そう考えると、一番大切なことは相手を思いやりながら一つひとつの言動に気を向けてあげて、皆で同じ方向を向いて稽古に励んでいくことなのかもしれないと思う今日この頃です。

大人の女性や初心者でも安心して習える横浜市の空手教室「錬心舘 横浜関内支部」 【入会や見学のお問い合わせは以下からどうぞ(担当:金井)】 連絡方法①:電話 090-2666-3544(留守のときはメッセージをお願いします) 連絡方法②:メール kanaihideki@docomo.ne.jp 連絡方法③:以下の問合せフォームから https://yokohama-karatedojo.com/?page_id=114